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笹幸恵
2021.8.28 18:39日々の出来事

吉村府知事、1000床単位の「野戦病院」だって。

大阪府の吉村知事がテレビ番組で
「1000床単位の野戦病院」を作る計画を
表明したというニュース。

吉村知事 大阪に「1000床単位の野戦病院」

記事によれば、
「全国的に『野戦病院』の必要性も
叫ばれる事態となっている」として、
吉村府知事は
「大阪で野戦病院を作る方針を判断した」
のだと言う。

野戦病院、野戦病院、野戦病院。
バカの一つ覚えのように最近メディアで
この言葉がブームのようになっているけど、
戦争経験者が聞いたらタマげるに違いない。
とりわけ大東亜戦争末期、野戦病院というのは、
「入ったら二度と出られない場所」であり、
「死ぬのをただ待つだけの場所」だった。
薬もなく、人員も足りず、手術もできない。
「野戦病院」という言葉には、病院とは名ばかり、
そういう悲壮な状況がニュアンスとして含まれるのだ。

ところが戦争を全く知らない人たちが、
やたらとコロナの悲壮感を煽ろうとして「野戦病院」と
いう言葉を使う。
元々のニュアンスから言うと、こういう意味になる。

玉川徹「野戦病院を作るのが最優先です」(モーニングショー8/16)
⇒死ぬのをただ待つだけの場所を作るのが最優先です。

尾崎治夫「野戦病院を作らないと無理だということは
医師会にも言っています」(モーニングショー8/16)
⇒入ったら二度と出られない場所を作らないと無理だ
ということは医師会にも言っています。

吉村洋文「1000床単位の野戦病院を作りたい」(ウエークアップ8/28)
⇒1000床単位の「病院とは名ばかりの病院」を作りたい。



(ツッコミは各自に任せる)



吉村府知事は、ホテル療養を増やすことについて、
「これはある意味、海外で言う野戦病院に近い」とも
コメントしている。
これはイギリスがコロナ対策のために設置した
ナイチンゲール病院を指していると思うのだけど、
これだって仮設の病院に過ぎない。
野外病院、仮設病院、臨時の医療施設、あるいはホテル療養、
いろいろ現代人がイメージしやすい、
そしてより実態が近い文言があるのに、
なぜわざわざ「野戦病院」という言葉を使う???
そして、なぜメディアもそれを取り上げる?

皆、このぬるい平和に飽き飽きしているのではないか。
戦闘態勢の緊迫感を味わいたがっているとしか思えない。

けど、ぬるい戦争ごっこだね。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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